湖西少年少女発明クラブと歩んだ菅沼成欣さん

豊田章一郎さんが記した言葉の前で語る菅沼さん

豊田章一郎さんが記した言葉の前で語る菅沼さん

 湖西少年少女発明クラブが創立50周年を迎えた。

 その歴史の半分近くを支えたのが、浜松西高校7回卒業生の菅沼成欣さんだ。湖西青年会議所(現在の浜名湖青年会議所)による創設当初から深く関わり、約20年間会長を務め、現在も相談役として活動を続けている。

 今回、「2027新春の集い~樂~」の幹事学年である高58回の代表幹事の田中翔悟さんと副代表の滝口進也さんが、西高の後輩としてお話を聞きに伺った。菅沼さんからお話を聞く中で、「発明」や「工作」の話以上に、何度も口にされた言葉がとても印象的であった。 「理念だよ。」

________________________________________

 西高で得た、一生の仲間

 昭和30年卒業。 木造校舎だった西高は、在学中に火災に見舞われ、急ごしらえの教室で授業を受けたという。 柔道部に所属し、学校までは毎日歩いて通学。当時は家業を手伝いながら大学へ通うのも当たり前の時代だった。 「勉強よりも、仲間だな。」 そう笑う菅沼さん。 卒業から70年以上が経った今でも、西高の仲間とのつながりは特別だという。 「西高は友達を大事にする学校だった。死ぬまで仲間だよ。」 この言葉には、世代を超えて受け継がれる西高らしさが凝縮されているようだった。

________________________________________

発明クラブを支えたのは「報恩創造」

  1976年、湖西青年会議所が湖西少年少女発明クラブを設立した。 当時、菅沼さんたちが目指したのは、単に工作を教える場ではなかった。 郷土の偉人・豊田佐吉翁の精神を子どもたちへ伝えること。 その中心にある考え方が「報恩創造」である。 社会への感謝を忘れず、その恩に報いるために新しい価値を創り出す。 ものづくりを通じて人を育て、人づくりを通じて地域を育てる。 「ものづくりの道具は時代とともに変わる。でも、ものづくりの基本の考え方は変わらない。」 ロボットや3Dプリンターを使う時代になっても、その思いは設立当初から変わっていない。

現在も相談役として、子供たちに温かく指導を行っている。

菅沼さんは現在も相談役として、子供たちに温かく指導を行っている。

________________________________________

 50年続いた理由

 全国には活動を終えた発明クラブも少なくない。 それでも湖西が半世紀続いてきた理由を尋ねると、菅沼さんは迷わず答えた。 「理念があるから。」 理念があるから仲間が集まる。 理念があるから支援者が増える。 理念があるから次の世代へ受け継がれる。 「50周年の式典は感動する。でも、その50年間をつないできたものが理念なんだ。」 この言葉は、発明クラブだけでなく、地域活動や企業経営にも通じる重みを感じさせた。

________________________________________

 後輩へ

 最後に、西高生へのメッセージをお願いした。 菅沼さんは少し考えて、こう話してくださった。 「先人から学ぶことだね。」 湖西には豊田佐吉翁という偉大な先人がいる。 西高にも、多くの先輩たちが築いてきた歴史がある。 その志を学び、自分なりに新しい価値を創り出していく。 それこそが、「報恩創造」の精神なのだろう。 湖西少年少女発明クラブは、その思いを未来へつなぐため、今日も子どもたちとともに歩み続けている。

高58回卒 代表幹事の田中と1枚 
同じ製造業で働く田中へは、仕事への向き合い方も熱く語られていた。

高58回卒 代表幹事の田中さんとの1枚 
同じ製造業で働く田中さんへは、仕事への向き合い方も熱く語られていた。

高58回 副代表の滝口と1枚
菅沼さんの会社がある湖西市で消防士をしている滝口とは、湖西市の魅力の話で盛り上がった。

高58回 副代表の滝口さんとの1枚
菅沼さんの会社がある湖西市で消防士をしている滝口さんとは、湖西市の魅力の話で盛り上がった。